「某30代男性向け週刊誌」の編集者、
なべちょーさんからの依頼により、
リサーチしてきた
「池袋ハードコア企画」。
前回までの流れはこちらを。
『星屑のなかを雑念ワゴンで、ひとりっきり~きっかけは突然にはじまる、ラブストーリーのように~』
|情報をどれだけ持っているか
図書館で調べものをして、
大量の資料を手に、
私は編集部へと戻った。
なべちょーさんの計らいで、
会議室をひとつ貸してもらった。
そこで記事を作るように、と。
通常、ひとりのライターに、
会議室を貸してくれることなんて、
あまり考えられない。
にもかかわらず、
なべちょーさんは、
ここに資料を広げて、
記事にしろ、と。
特別な取り計らいだった。
|バラバラの情報をパズルのように組み合わせる
私は会議室に入って、
図書館でまとめてきたメモを広げた。
そして地図を並べ、
電車の時刻表を広げ、
ワープロを立ち上げた。
カラギャン(と思しき)事件を、
時系列ごとに並べてみた。
最初は埼玉県の北部、中部、
東京都の埼玉県寄り、
そして渋谷……。
私個人が直近で確認したのは、
六本木のクラブでだった。
この流れから導き出した、
私の仮説……
「カラギャン埼京線上京説」
|仮説は圧倒的な情報量から成り立つ
記事はこんな展開にした。
(厳密に言えば埼京線だけではないが)
埼玉県北部で生まれたカラギャンは、
埼京線で東京へ乗り込み。
そして恵比寿で乗り換えて、
六本木へ。
それは人の移動ではなく、
文化の伝染だった。
もちろん人の交流もあったと思うが、
徐々に都心部に、
カラー文化が伝播していった。
そして……、
最終的には、六本木で、
(クラブの用心棒とか)のギャング(黒人)に出会って、本物を知る。
そして文化的な廃りとチカラの差を知ることで消滅していく。
そんな内容だった。
|根拠のある仮説は認められる
今思えば、
こんな私の妄想が、
ひとつの記事になるとは、
驚きでしかないが……。
実際に、記事として発売された。
見開きの小さな記事だったが。
しかし、
そこで感じたのは、
情報を集めてまとめて、
そこから仮説を立てることの、
意義と意味、そして楽しさ。
仕事の本当の喜びを感じたのは、
このときが初めてだったかもしれない。
おわり。
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